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インタビュー「先人に学ぶ」

山里に生きる

山里に暮らす自信と誇り

 

栗田和則さん 暮らし考房(山形県金山町)


町一番の元気むらに

 

 五年後(一九九八年)、町に滞在型のホテルが建った。それに併せて、里山の暮らしを体験と民宿で提供する「共生のむらすぎさわ」が立ち上がった。ホテルとの提携で一気に二千人超の人がむらを訪れた。そこで楽しむ七人の里山の案内人を見て、翌年には一〇人の若者による森の案内人が生まれた。ことは連鎖して起こる。この年、杉沢の米や野菜を送る「すぎさわふるさと倶楽部」やカエデの樹液を採取し、商品化する「メープルサップ研究会」も生まれた。  

  二〇〇四年、杉沢は再び動いた。

 雪山で採取されたカエデの樹液は地ビールとなり、また夏にはメープルソフトクリームに変身した。そして秋にはイタヤカエデの森づくりへと発展した。一一回目となった里山フォーラムは「内山節の山里哲学精舎」と名称を変え、京都から北海道まで三〇人の門人たちによって、これからも杉沢で開かれることになった。一〇年ぶりにむらにできた空き家は、都市の人たちとの共同出資によって買い取られ「山形、金山スロー村」としてスタートした。都市の人たちが余暇を楽しみむら人と交わる場として生き返った。

 人との交わりは、自分のむらを見直し、ものの動きをつくり、新しい産物を生んだ。そして、里山に暮らす自信と誇りを回復させた。 

 メープルと哲学と交流をキーワードとする杉沢を、町一番の元気村、グリーンツーリズムの本道を行く村と評してくれる人さえいる。 

 嬉しいのは「杉沢が好きだ」という若者が出てきたことである。今、村の明日に希望が見えてきた。