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事業アイディア

森林空間利用(レクリエーション・セラピーなど)

癒し産業の創出をめざして
エコメディカル&ヒーリングビレッジ事業がスタート

長野県林務部森林保全課(長野県)

 森林を資源とした全く新しい発想のビジネスを模索する動きもある。長野県では森林の癒し機能に着目して、癒し産業としてのビジネス創出をめざした事業をスタートした。従来にない着想の事業内容について長野県林務部森林保全課より紹介していただく。

目次

森の癒しマニュアルの作成

 長野県では、平成15年度より森林の癒し機能を活用した『エコメディカル&ヒーリングビレッジ事業』をスタートさせている。
 この事業は、豊かな自然や地域の文化、温泉など地域の特性を健康増進資源として位置づけ、都会の疲れた方々を癒す場として活用することにより、都市からの交流入口増やし、観光・農林業・医療を結びつけた新たな産業を創出することを目的としている。

 事業開始となる平成15年度は、ドイツやイギリスなど森林の癒し先進諸国を歴訪し、森林療法の実践を行ってこられた、東海女子大学の専任講師である上原巌博士にお願いして、森林の癒しマニュアルの作成を行った。
 また、信濃町をモデル地区として、森林メディカルトレーナーの養成、癒しの森林モデルコースの設定・整備など、癒しの本格的実戦に向けて条件整備に取り組んでいる。

癒しの実施イメージ癒しの実施イメージ

信濃町での癒しの取り組み

 信濃町は、黒姫山や斑尾山の裾野に平坦で豊かな森林が広がり、町のほぼ中心に神秘的な野尻湖が静かにたたずみ、夏のハイキングやキャンプ、冬のトレッキングやスキーなどの自然を活用した観光が盛んな町である。この優れた自然条件を活用した癒し事業に対して地域のみなさんの熱意と期待は極めて高く、モデル地区としての条件が整っている。
 信濃町では森・里・宿で行う5つの療法を基本に、都会で疲れたサラリーマン、家事に疲れた主婦、ストレスの多い子供などを対象に、医療関係者が癒しを処方し、森林メディカルトレーナーが具体的に指導する。

 癒しの事業を進める上で、癒し対象者と接して重要な役割を担うのが、森林メディカルトレーナーである。平成14年10月に町内全戸に呼びかけて募集したところ、定員30名に対し80名の応募があり、町民のみなさんの関心の高さを感じた。最終的には、初級トレーナー65名が認定され、16年度以降は、中級・上級のトレーナーの養成を目指して、レベルアップを図る予定である。
 また、事業推進役として、林家、農業者、農業協同組合、漁業協同組合、食生活改善グループ、商工会、観光協会、和漢薬研究所などの方々を委員とする「信濃町癒しの森事業推進委員会」立ち上げ、関係者が一体となって取り組んでいる。
 医療面における森の癒し効果の評価、医療と産業(観光・農林業)との連携方法など、事業を進める上で解決しなければならないさまざまな課題はあるが、林業と同様に長期的な視点に立って、癒しの実践をくり返しながら、産業としての定着と新たなビジネスの創出に向けて取り組みを進めている。
 長野県としては、県内の他地域においても、森林と温泉を融合した癒し、引き篭もりの子どもたちを対象とした森の癒しなど、地域の特色を生かした癒し産業を展開する計画である。

癒しのプログラムと主な取り組み癒しのプログラムと主な取り組み

(全国林業改良普及協会 月刊『現代林業』2004年3月号より。記事データは掲載当時のものです。)
**『現代林業』はこんな雑誌です。**

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