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そまびとたちの奮闘記

NPO法人信州そまびとクラブ。
山仕事をしながら、
林業のこれからの姿を提起します。

2009年5月28日

田んぼで

昨日、村に唯一残った現役の田んぼから子供たちの声が聞こえてきました。「いよいよ小学校の田植えかな」と思いましたが、それにしてはホイッスルが聞こえてきて様子が違います。そばに車を止めて見るとご覧の通り、そこではバレーボールの熱戦が繰り広げられていました。


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 おそらく代掻きを兼ねているのだろうと思いますが、先生も審判で忙しそうだったので話を聞くことはできませんでした。
 おもしろかったのは、子供たち以上に、そのドロドロの姿を見てキャーキャー言っている役員のお母さんたちの顔。でも大丈夫ですよ、ここのお母さんたちのほとんどは、泥や土を暮らしの一部として内包しています。そういうお宅には洗濯機も普段着用と泥用の二台があるほどですから。

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2009年5月25日

林業体験は雨、でも

東京の町田市大地沢青少年センターが募集した「川上村 子ども自然体験塾(林業編)」のお手伝いに行ってきました。こんなことを書くと叱られてしまうのですが、3年目を迎え、今回ようやく「学ぶことよりも、まず楽しんでもらうこと」が大切とわかり、また、とても嬉しかったこともあったので記録しておきたいと思います。


 今回は小学生30人が参加し、1日目は除伐体験。2日目は林内の歩道作りの予定でしたが、雨でクラフト体験に変更になりました。この事業の作業体験の素晴らしさは、何と言っても地域の大人たちが大勢で安全面の指導をしてくれることです。今年も、町田市の施設がある秋山という集落の林野保護組合の役員の皆さんが、付っきりで子どもたちのめんどうを見てくれました。この作業の中でやっと気づいたことがありました。それは、子どもたちにはとにかく森の楽しい思い出を持って帰ってもらうことが大切なのだ、ということです。実に当たり前のことなのですが、私はこれまで「林業体験」という言葉にがんじがらめになってしまっており、とにかく参加者全員に作業後の充実感を味わってもらうことを第一目標としていたのです。


 でも、よく考えてみれば、彼らの集中力を2時間以上も作業のためだけに集中してもらうなどということは、はじめから無理な話なのです。たとえば、森の中に展開し、1本目の蔓を切ったところから、ターザン遊びが始まってしまうこともあるのです。いままでこんな場面に遭遇すると「何とか本来の作業に戻さなければ」と、とにかく焦る自分がありましたが、今回、ヤマブドウの蔓から滴る水を夢中で飲んでいる子どもたちの姿を見たときに、私はこれまでの自分の間違いに気づきました。この気づきには、ある独特のシチュエーションがあったのです(実はここにいちばん感謝しています)が、そこは省かせていただきます。とにかくやっと目が開いた、そんな体験でした。

 

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 2日目は降られてしまい、クラフト作りを行いました。作業の前に南佐久南部森林組合職員による、村の林業の歴史パネルの説明が行われたのですが、この光景が自分にとってたいへん印象的なものでした。この施設ができて10年以上が経過しましたが、ハード優先の事業が多い中で、以前からこうした森林組合職員によるソフト活用が行われることが私の希望だったのです。説明不足ではありますが、とにかく感動的でした。こういう機会を設けてくださった町田市の担当の方には、上記の気づきにも増して感謝しています。

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子どもたちがこの施設でお弁当を食べる姿。何気ない光景なのですが、10年来の夢でした。

2009年5月23日

高能率搬出システム

佐久地域の素材生産業者(山から材木を出す人たち)が発起人となり、佐久地域高能率搬出システム開発グループが設立されました。要林産はまだろくに材木を出すことができないのですが、昨日、その設立総会に出席しました。経済的に入会金を払うことができない状況なので、信州そまびとクラブのふんどしをお借りしての出席でした。


 このグループでは、今後新たな機械システムの導入などを検討するために、機械デモを依頼しての勉強会はもちろんのこと、すごいのはおたがいの現場を見せ合う、ということも行うそうです。初代会長は森林組合、事務局と副会長は有限会社という布陣なので、生産業者のヨコの結びつきが強くなることは間違いないでしょう。今後が楽しみです。


 役員、規約や予算の確認の後、来賓挨拶に続き記念講演が行われましたが、この講演が実に時宜に合った重要なものでした。講演したのは林材ライターの赤堀楠雄さんで、近ごろの国内の新生産システムの動きや、大規模に木材を扱っているプレカット工場の情報やその工夫などを、画像によりわかりやすく説明していただきました。


 最後に、全国の林業を俯瞰している赤堀さんならではの重要なメッセージがありました。そのひとつに「現在の国内の人工林は伐期を迎えているものが多いが、ここでもし国産材が動き出して、持続的に木が必要になった場合、今の伐期齢の分布のままでは対応できなくなる。林業界は未植栽地問題を含め、次のアクションを考えて行動する必要があるのではないか」というものがありました。これは業界のみでなく、日本社会存続の根幹を成すものともいえることなのですが、はたしてこのメッセージを会場にいたどれほどの業者が「自分のこと」として感じてくれたのか、もしかしたら「伐ったあとは行政が考える、だからこのメッセージは出席している行政へのものだろう」という先入観を持つ人がいるのではないか、そんな心配をしながら会場を後にしました。

2009年5月18日

制度資金の申請

林業・木材産業改善資金というものがあります。長野県のホームページでは「林業・木材産業に携わる方が、経営の改善を図るため機械・施設等を導入する場合に、無利子で貸付けを受けられる制度です」と説明されています。


 個人の場合で1500万円まで借りられるこの制度を活用して、自分の山に道を入れ材を出しながら経営したいと考えている方がいるのですが、書類作りができない、ということで声をかけていただきました。


 「日当は出すから...」こんなにありがたい話はありません。なぜなら、いずれ自分も機械を導入することになれば、こうした制度のお世話にならなければならないわけで、そのための最高の勉強の機会を、お金をいただきながら与えてもらえたのですから。


 今回は5ヵ年計画で合計1000万円弱の融資。中古バックホー導入と、林道の修理、作業道の作設、間伐などを組み合わせた計画書を作成し、ハンコを押すだけの形にして、先日依頼者にお渡ししてきました。この申請が形になり、やがて地域の山作りにつながってゆく日を楽しみにしています。

2009年5月16日

ブル集材

 

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何年ぶりかでブルドーザーによる集材の現場に行きました。今回も、村の先輩グループのお手伝いです。本業のレタスの植え付けがはじまり戦力ダウンしているところに、ご覧のようなハードな現場が重なり、若手(?)の私に声がかかりました。一面立木の無くなった斜面にポツンと見える黄色い点がブルドーザーです。

 


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 これがブル君のアップです。イワフジのCT35。私の写真の腕前がもう少しよかったら、けっこうな傾斜であることと高度感を表現できるのですが残念。運転台に乗ると高度感が増し「大丈夫なの?」という感じがします。後部についているウインチからワイヤーを引っ張り出して目的の材木のところまで人力で延ばしてゆきます。これがかなりの重労働です。

 


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 山の上では、材木にワイヤーをかけて、「巻け」の合図の前に、滑り落ちる材木に巻き込まれないように退避します。この皆さんが60代後半から70代の先輩です。たぶんその歳になった頃の私には無理でしょう。

 

 

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 オペレーターが「おーい、巻くぞ」の合図。ワイヤーは100m、めいっぱい引き出しました。


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 材をおろした後、そのままブルで土引き(どびき)と呼ばれる材運びを行います。当地ではなだらかな山が多いので、このブル集材が主役です。

2009年5月13日

環境フェア総集編

一週間以上過ぎてしまいましたが、県の環境フェアでお伝えしていなかったことの報告です。

 

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 チェンソーカービング「シトロン」の饗場良夫さんです。
 大型機械搬入の手間や機械音のことなどで、いつも会場の一番端っこを利用させてもらうそまびとですが、そんな立地条件でも人を呼び寄せてくれる最大の功労者です。チェンソーパフォーマンスは多くの人の関心を集めます。 


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 長野県林業士会佐久支部との協働ということもあり、今年はテント二張りの大所帯でした。上の画像は薪をメインにしたブース。下は左から県の佐久地方事務所林務課が設けた森林整備の相談コーナー、地元の山口商会さんによる森林整備用品の販売コーナー、そしてそま会員「樹」さんによるクラフト紹介のコーナーです。
 各々のミッションは異なりますが、要は同じ旗の下(と言うか、人かな)に集うものということで、楽しい雰囲気の中で一日が過ぎてゆきました。下画像のテントには「岸野小学校」の文字が輝きます。

 

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 薪割機のアップ。オペレーターはそまびと専従の森林インストラクターK村氏。花嫁募集中です(などと書くと本人には迷惑千万ですが)。余談ですが、私はこんないい男を独身のままにしておく国には、未来はないと常々思っています。・・・年寄りのおせっかいですかね。


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 手動薪割機のアップ。そまびと会員の方が持ち込んでくれました。残念ながら今のところ当地域ではネットでしか入手できないようです。効率面で動力式には劣りますが、時間さえあれば力の無い人や慣れない人にも、安価に安全に薪を割ることができるという、これからの日本には不可欠なアイテムです。

 

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 森林整備についての行政の相談コーナー。アンテナを高くし、網を広げる。この地道な努力が大切なんだと思います。相談者が来てましたよ。
 ここでの相談の対象面積が0.1haでも100haでも、評価に違いはありません。なぜならば未だ日本の人工林の大部分は「整備するかしないか」という最も基本的なフェイズにあって、その突破口作りが急がれているからです。
 付け加えると、まだそのフェイズにしかないのは、私を含めた生産側の、林業の外に居る人たちへの働きかけが不足しているからです。

2009年5月11日

連休

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少し古くなってしまいましたが、ゴールデンウィーク中の村の話題を。


 画像は5月2日の千曲川源流登山口の様子です。毎年、救助隊の手伝いで金峰山とこの甲武信登山口でもある駐車場でパトロールを行いますが、高速道路の割引の影響か、今年は少し様子が違っていました。
 毎年、連休中は駐車する場所に苦労するほどの賑わいなのですが、今年はわずか34台。丁度仕事に来ていた元営林署のベテランもひとこと、「今年は少ねーな」と言っていました。そしてこれもまた高速割引の影響でしょうか、熊本ナンバーや北海道のナンバーなど、いつもよりも広範囲からお客さんが集まっているように感じました。

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 何年か前に環境省の事業で整備された毛木場(もうきば)駐車場。世間では毛木平(もうきだいら)と呼ばれています。地面が白っぽく見えるのはアスファルト面の照り返しで、雪ではありません。
 昭和27年まで、営林署の貯木場と土場があり、千曲源流付近からここまでトロッコの軌道がありました。

2009年5月 7日

カラマツストーブ

 

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環境フェアでの、カラマツストーブで森を守る会(カラモリ会)の出展風景です。


 「夢は現実になる」
 この会が普及をめざしているストーブの誕生を知ったときは、そう感じました。


 カラマツは燃やすと高温になるため、普通は鋳鉄で作る薪ストーブを、鋼鉄製にすることで耐久性をもたせているということです。奥行きが80センチ以上あるので、長い木も楽に入れられます。

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 上部の煮炊きする場所が広いので、余裕で大きな鍋も置けそうです。我が家が村営住宅でなく、自由に穴をあけてよいところならすぐにでも買いたいのですが、残念です。

2009年5月 6日

環境フェア

 

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一見、薪の路上販売テントのように見えますが、5月5日、長野県佐久市の駒場公園というところで開催された県主催の環境フェアでの様子です。今年は信州そまびとクラブ、長野県林業士会佐久支部、カラマツストーブで森を守る会(カラモリ会)のコラボ出展で、いつものように地元のチェンソー屋さんやチェンソーアーティストの方なども参加しての、賑やかなブースになりました。

 

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 あまりに盛りだくさんなので、まずはこのコーナーから。そまびと会員によるクラフトです。特にこの作品「名刺入れ」が嬉しかったので紹介させていただきます。作者はブログ樹[ITUKI]の信州日記を書かれている樹さんです。木製名刺入れについて天然カラマツで作るとどうなのかな?と興味本位でたずねたのですが、何と環境フェア当日に間に合わせて実物を作ってくれました。しかもこの貴重な作品をプレゼントしてくれたのです。とても手のかかっている作品で、忙しい中、よくぞここまでやっていただけたなと、ただただ感謝するばかりです。

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 カラマツならではのこの木目の雰囲気、いかがでしょうか。蓋がないのに「あら不思議!」 逆さにしても名刺は落ちません。1枚でも大丈夫です。・・・というのがこの名刺入れの特徴です。

2009年5月 1日

軽トラが

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久しぶりにお道具関連の話題です。上の画像を見てピンときた方は
けっこうメカ通かと思います。そう、タイミングベルトがやられてしまい
ました。でも運良く山道から下りて来て、村中を走行中にパタリと止まり
ました。

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 ベルトの山がみごとに吹っ飛んでしまっています。通常は走行距離10万
キロで交換と言われていますが、まだ6万6千キロでの災難でした。車の
タイプによってはエンジンが壊れてしまうこともあるそうですが、ウチの年式
のスバルはベルトの交換だけで済むのだそうです。偶然ですが、この年式に
乗っていてよかった。

 

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 ところで、今は良い時代ですね、携帯電話で連絡をしたら、すぐに修理
工場から救助が到着。翌日には部品が届いて現場復帰ができました。

 

 

 

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そまびとたちの奮闘記 「そまびと」とは「きこり」のこと。現代のそまびと=技能職員たちが起業し、模索しはじめました。

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要林産のホームページ somabito.jp をどんなものにしようか、現在思案中です。なにか良い案があったら、ぜひコメントに書き込んでください

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