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農山村の背景情報

山で生きる・森をつなぐ仕事<part.1>

命が循環する森づくりを

河津耕治さん(農林業・野風ムラ主宰/熊本県)

04_河津さん.jpg「昔は手が回ったけん、今は太かなって」と、直径約60㎝のスギに抱きついた河津さん。南小国町は年間降雨量2500㎜。県内でもスギの生育に適した土地柄だ。案内していただいた約3町の山は、10年前に強度間伐を行った。スギはのびのびとした空間に合わせて肥大し、木立の間に入った広葉樹が森を明るく彩る。
 中学生の頃から父親について山仕事をしていた河津さんだが、まず選んだのは酪農経営。13年間精進して収入が安定したとき、突如無農薬農業に方向転換する。利潤を求め続けることより、自然の摂理にかなった仕事に関心が移った。同時期に始めた陶芸と、無農薬栽培米を使った煎餅が、河津さんの生活を支えることに。地元に黒川温泉という観光地を抱く利が生きた。
 木材を生産するだけの林業から、命が循環する森づくりへと関心が移ったのも自然の流れ。自然農法に学んだ土作りの重要さは、山にも通じる。多様な生き物が共生できる環境こそ、健全な木が育つ。河津さんにそう確信させたのは、地元の知人が持つ大径木の森だ。幽玄なる趣を備えた複層林を手本に、試行錯誤しながら強度間伐をしてきた。
 2年前、「鋸谷式間伐」を知った河津さんは、この考え方を土台に、地元に即した強度間伐方法を模索中。地域全体に普及させ、やがて地元の山全てを、生きている森にしたい。間伐による地域興しのため、年内にも仲間と研究会を発足させる予定だ。(絵と文/長野亮之介)
 

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