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トップページ > 農山村の背景情報 > 山で生きる・森をつなぐ仕事<part.3>

農山村の背景情報

11 人づくりは森づくりや・萩原茂男さん(NPO 法人森林楽校・森んこ代表/福井)

 

11_萩原さん.jpg「グリーン・ツーリズムの拠点として整備したいんですよ」と萩原さんが案内してくれたのは、4年ほど前から定住者が居ない無人の集落。茅葺きの屋根は歪み始めているが、今ならまだ手入れできる。裏山には針葉樹林が点在し、すぐ前の休耕田の向こうには河川が流れる。「昔話の原風景でもあるこうした場所を、次の世代にも遺したいと思って」と萩原さん。「遊木民プロジェクト」と名付け、3年前に立ち上げたNPO「森林楽校・森んこ」の事業として手がけるつもりだ。営利が目的ではない。「究極の夢は、寝たきりの年寄りを、素敵な里山に案内してあげたいんですよ」と萩原さん。
 30歳代前半までは大阪で広告代理店に勤めていた。ある日通勤途中に「もし、木がなくなったらどうなる?」という疑問が唐突に湧く。「天の声」だと感じた。森林や環境のことを調べるうちに、実際の山仕事に興味が湧いた。36歳の年に、リクルートの求人誌で名田庄森林組合での職員募集を知り、即座に移住を決定。和子夫人にも異議はなかった。いい環境で子育てをしたい時期でもあった。「情報も大事だけど、僕はとにかく現場主義。何でもやってみないと判らない」。開放的な風土も手伝い、思いのほか水が合った。組合では、保育を中心に山仕事に熱中した。
 6年前に森林インストラクターの資格を取って、さらなる転機が訪れる。保育園の子供達と一緒に自然の中で遊ぶと、柔軟な感性に感動させられる。一方、小学生を山に案内してみると、驚くほど山を知らない。「地元の子が山に入らなければ森も作れない」と危機感を覚えた。当時、周辺には野外体験の組織もなく、自然学校を作りたいという思いが、2004年の「森んこ」結成に繋がる。
「人生を楽しむことが大事。自分が楽しんでると、人は自然に付いてきます」と言うモットーが心に残った。(絵と文・長野亮之介)

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