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森からの宅配便

森林に関わる仕事に就いてもうすぐ20年。日々の泣き笑いをご覧あれ!

2009年5月29日

あらましな仕事

 今週から造林班、永見さんの元で修行中です。
永見班は毎日出勤ではないので、その他の日は間伐。
毎朝、チェーンソーと刈り払い機を準備して待つ私に、

 『ついにアヤさんは、チェーンソーで切りながら
  刈り払い機使える様になったかね。』

と、深瀬さんが一言。
・・・んなワケないやん!!

今日は永見班と除伐に行って来ました。
仕事内容は又後日書くとして。
造林の仕事をするにあたって
永見のオトウサンと約束したコトがあります。

 『アヤちゃん、造林に限らず全ての仕事にいえるコトだけど
  初めにキッチリした仕事を覚えんさいよ。
  あらましな(ザツな)仕事はいつだって覚えるコトはできる。
  初めあらましな仕事を覚えると、
  いつまでたっても丁寧な仕事を覚えんけぇね。』

その言葉の通り、永見班の仕事後は見事です。美しい。
少々時間はかかっても、その労力を惜しまない。
この仕事があってこそ、今まで私達が間伐・主伐に入っていた
30年後、60年後の山があるんだと改めて実感しました。

 『造林あっての林業よ。』

社長がそうおっしゃった時、なんだかピンときませんでしたが
今はハッキリ理解出来ます。

この方々の下で働ける事をとても誇りに思います。

P5290851.jpg

         by、ナカシマ アヤ
              




  
  
  

2009年5月26日

苗畑日記 その伍

 いよいよ穂木挿しです。

  1、噴霧器で土中の根切り虫を退治します。

ネキリムシと言うスギ苗に悪さをするヤツがいます。
まずは噴霧器で薬を注入。
初めて噴霧器を背負いましたが、頭の先までピリピリする・・・
恐らくこの『ピリピリ感』はやってみないと分からない(笑)
床がえとは異なり、肥料は一切まきません。
肥料を入れると発根しないそうです。

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  2、穂木を挿します。

だいぶ深くまで掘り起こし、土を柔らかくします。
そして、穂木を挿す。この時、挿す方向がとっても重要。
一列に25本前後。結構ミツに挿してゆきます。

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  3、踏みしめます。

ギュッギュ、ギュッギュ、
引っ張っても抜けない位、しっかり地中に埋め込みます。
重量により深瀬先生は一往復。私はニ往復(笑)

P4270825.jpg

  4、網をかけます。

木杭を打ち込み、ワイヤーでグルっと囲み
かぶせた網を洗濯バサミで止めてゆきます。
苗畑は、特に冷え込む地域。
梅雨時に10度を下回る事もあるそうな。
朝晩の霜対策に。日中の日照り対策に。谷風の乾燥対策に。


P5010833.jpg

約9500本の穂木が並んでいます。
この内の何本が山までたどり着けるでしょうか。
良くて8割、悪くて5割・・・と先生がおっしゃっいました。
特に若葉マークの私が作業した列が心配。

P5010834.jpg

 これにて一旦、苗畑の作業終了です。
後は成長を待つばかり。
手取り足取りご指導頂き、ただ言われるままに動いていましたが
深瀬先生は、何十年と試行錯誤を繰り替えし
ここまでたどり着かれた事と思います。
色んな所に小さな工夫が散りばめられていました。
きっと来年も又、アタラシイ発見があるコトでしょう。

 夏・秋・冬と苗畑で動きがあり次第、追って報告いたします。


         by、ナカシマ アヤ

2009年5月19日

私なりの『林業論』

 そういえば、どうして安田林業にいるのか
まだ書いていなかったように思います。
・・・今更ですが。

 一目惚れしたんです。安田林業の山に。

訪れたのは丁度紅葉シーズン。
 
 上層部は50年生のスギ
 中層部は色とりどりに紅葉する広葉樹
 下層部は5年生のスギ

・・・あったんだ
私がずっと『あったらいいな』と思っていた山が。
鳥が鳴いて、山菜が取れて、ラズベリーがなるスギ山が。
私の密かな夢は、いつの日か
人が思い浮かべる『人工林』という心の仕切りを取り除くコト。
野鳥観察も出来き、子供が泥だらけになって遊べ、
ハイキングだって楽しめる。そして、スギを搬出する。
そんな『山』を残すんだ。

 まぁ、とは言っても。現実、現場はそんな甘くない・・・
前回載せましたが、今の間伐現場。
スギを切るより、明らかにザツ(主に広葉樹)を切る数が多い。
 
 急斜面、悪い足場。
 谷側を先に切り
 斜面を上りながら、下へ下へ切ってゆく。
 『切る』と言うより『落とす』感覚。
 この空間。このキハダは残したい。
 けど、この一本残すと後の作業が倍大変になる。
 ストンストン落とせるザツが、この一本に全てに引っかかる。
 
午後2時。
腕も足も悲鳴を上げ始める時間。
『切ってしまおうか。』
正直そう思う。
そんな時、フっと頭をよぎるのは
こないだ出会った2匹の青い鳥。
50年後、立派に成長したこのキハダにとまっている姿。

 『まだ終わらんのかぁ〜!?』
ごめんね、正木班長。
作業効率が全てで毎日をこなせない
私にはゆずれない、私なりの『林業論』があるのです。

   
      by、ナカシマ アヤ


 
 




2009年5月16日

『いい山』ってどんな山?

 G.W 明けから間伐に入っています。

樹齢25年程のスギ。
熟練作業員の方によれば、ほとんど手を入れていない山。
こんな状態です。

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ササ・ザツ木が生い茂り、カズラが巻き上げて
いったいスギはどこにあるのやら?
ひたすら切って、切って、切る。
すると、施行後はこんな風景。

090516_1114~01.jpg

今日で三日間、この山を間伐しながら
ずっと、ずっと考えていた。

 『いい山、ってどんな山?』

この山、本当に鳥が多いんです。
休憩時間、チェーンソーの音が止まると
ビックリする位賑やかな鳥の大合唱。
腰をおろして、ぼんやり聞き入ってると
二匹の鳥が近づいて来た。
赤いくちばし、黄色いお腹、青い毛。
初めて見る、とても美しい鳥だった。
なぜかこの二匹、私の回りをウロウロ離れようとしない。

 ・・・もしかして、巣でもあったのかな・・・

先程『ザツ木』と一纏めにしたけれど
イロハモミジ、ヤマサクラ、キハダ、ブナ etc...
この鳥達や、クマや小動物にとっては
今のままの状態で放置する事が『いい山』だったのかもしれない。

 人間にとって『いい山』
 林業家にとって『いい山』
 山に生きるものにとって『いい山』

きっと、同じじゃない。
いったい私はどの『いい山』を残してゆきたいんだろう。

 山にとって『いい山』

を探して行きたい。
一人の林業従事者として。


       by、ナカシマ アヤ




2009年5月14日

苗畑日記 その四

 穂木取りです。

挿し木にする穂木は母樹林から取ります。
昔は山を歩き回って、穂木を取っていたそうですが
ナカナカ大変なので母樹林を作ったそうです。

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モサモサのブロッコリーのようなのがそれです。
私の背丈もありませんが
後ろに見える背の高いスギと同じ、50年生です。

 1、将来枝になるもの(エダシン)
 2、きちんと根のでるアカシンと呼ばれるのも
 3、剪定した後25cm〜30cm位の長さのもの

この条件をクリアーしたものを切ってゆきます。
この母樹林が

P4230815.jpg


この程度になるまで透いてゆきます。

P4230816.jpg

曲がったエダや将来葉になるもの(ハシン)は
予め切り落としておきます。

そして、一本一本見極めながら剪定。
これが、いと難し。
初めはエダシン・ハシンの見分けがつきません。
そしてスギの表・裏が分からない。
先生に言わすと『経験あるのみ!』だそうです・・・

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剪定したものを大と小に分け、
大21本・小25本ずつワラでとめて
エダの先を水に付けておきます。
穂木はとても乾燥に弱い。
日差しの強い日は必ず日陰で剪定をします。

一日、必死になっても600本(ちなみに先生は軽く1000本)
今年は10,000本の穂木を植えます。

 『イチマンボン!?』

って聞いた時は莫大な数の様に思いましたが
標準本数を言えば1ha あたり3000本。
って事は3ha ちょっとか・・・
昔は50,000本位当たり前だったとか。

 正直ちょっと、ゾッとなる(笑)


       by、ナカシマ アヤ


2009年5月11日

とことん吉和暮らし

 今年度、私のテーマは

『 Enjoy YOSHIWA Life ! 』

・・・仕事は勿論です。あしからず(笑)
何かの縁あって住み着いた、この吉和。
遠いコンビニまでの道のりを嘆いても仕方がない。
腹をくくって、どこまで楽しめるかやってやろうじゃない!

 村の掃除にも参加。
 集落のオッチャン方の宴にも参加。
 イベント事にはとにかく参加。
 運動会だって、地区代表で走ってやる。

見てろよ!(一体私は誰に言っているの・・・?)

 そんな訳で、カゴ編みに挑戦。
以前からやってみたい事の一つでしたが
教えて下さる方も見当たらず、ナカナカ機会がなかった。
灯台下暗し。
ちゃんと吉和内におられました。

 昨年お世話になった、ドライフラワーアレンジメントの先生。
聞いてみたら、カゴも編めるとおっしゃる。
ラッキー!!
材料は持参して下さいね・・・との事。
それこそ、山に山程あります。
キコリ友達の Y 氏を誘って、早速習いに行って参りました。

どんなツルが良いのか全く検討もつかず
取りあえず手当たり次第、安田山林で入手。
Y 氏も毎日セッセと現場で収集されていた様です。

 太いツルを使って Y 氏は大作を。
 細いツルを使って私は小作を。

二人共『みだれ編み』で編んでゆきます。
大まかな形を作り、ひたすら好きな具合に編み込んでゆくのみ。
とっても大雑把。私にピッタリ。
手の動くまま、ツルの行きたい方向へ導いてやる。

先生がおっしゃってました。

 『私はカゴを編むと、とってもストレス解消になるの。
  自分のイライラや不安も一緒に編み込んでいる感じよ。』

ん〜、私もそう思います。
不思議と、とっても心が穏やかになってゆくのが分かる。
無心の三時間。

P5100845.jpg

ナカナカ素敵でしょ?
左のが私の小作です(笑)

これはオモシロイ!
何より材料費がタダなところがスバラシイ!
今まで邪魔モノでしかなかったツル達の評価が一気に上昇。
梅雨時の休日は、当分つる編みに凝りそうです。


       by、ナカシマ アヤ



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森からの宅配便 西中国山地の山あい広島県廿日市市吉和で林業から木工まで、森林にどっぷりと浸かって抜け出せない毎日を送ってます。

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