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そまびとたちの奮闘記

NPO法人信州そまびとクラブ。
山仕事をしながら、
林業のこれからの姿を提起します。

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エコツーリズム考

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深まりゆく紅葉に牡鹿の声。いちばん奥にわずかに見えるのは、山梨県境にそびえる金峰山(きんぷさん)


 奥秩父連峰の小川山の麓にある短いルートで、東京から来た約40人のお客様の案内をしてきました。
 村には、三鷹市、町田市、武蔵野市などの保養施設があり、今回は町田市施設の指定管理者である川上村振興公社が企画するツアーでした。慣れた人ならば1時間もかからない険しくないコースを選び、ゆっくりと秋の山を楽しむ設定としました。

 リョウブに残されたシカの食痕や、森の世代交代の様子を観察しつつ、何よりも良いのは(自分で言うのも変ですが)地元の人間がいっしょに歩きながら、自分の目で日頃見ていることを伝える、ということではないでしょうか。これは山村起業の最大のポイントのひとつだと思うのです。

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標高1600mの廻り目平は、フリークライミングの聖地。遠景の奇岩は屋根岩(やねいわ)

 12年前に、はじめてこの場所に来たとき、20代の頃に旅したヨセミテ国立公園を思い出しました。数々の奇岩とクライマー達の姿が見られたこともそうですが、何といっても独特の空気が、所謂「日本の観光地」ばなれした魅力を持っているのです。

 当時、よそから来た私の感じる魅力や感動を共有してもらいたくて、いろいろな人にツアーの企画のことを話しました。でも皆ピンとこない様子で、相手にしてはもらえなかったのです。私は内心「ここのガイドは間違いなく商売になるのに」と残念に思い、「なんでこの村は観光で食ってゆこうとしないんだ」と疑問に思ったりもしました。

 時は流れ、昨年、振興公社から依頼の電話が来ました。そして今ではごく自然に案内の依頼を受けるようになったのです。理由はわかりませんが、この経験からひとつ言えることがあるのかもしれません。それは、「世間には時間のかかることがある」ということです。と同時に、近頃では私の内面からも、12年前の熱っぽい「観光村興し」的な感覚が薄れていることを感じます。うまく表現できないのですが、ジックリと末永く通ってもらえる場所であることを念頭におくことが一番かと考えています。