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森からの宅配便

森林に関わる仕事に就いてもうすぐ20年。日々の泣き笑いをご覧あれ!

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枯れマツ

 昨日の話です。

 ヒノキの間伐に入っていました。
ところどころに植えられたマツはほぼ全滅状態。
枯れマツ処理も仕事の一つです。
余りに大きく、伐倒の際
回りのヒノキを傷つける様な枯れマツは放置しますが。


 私の行き進む先に、大きな枯れマツ。
谷へ向かって傾き、根が土から少し持ち上がっている様子。
両サイド二本のヒノキが下敷きとなり弓なりにたわんでいます。

 『イヤな感じ・・・』

 フっと心に何かよぎりました。
が、素通りする訳にはいかない。
ここまで朽ちているなら尚更の事。
受け口を入れ、慎重に少しずつ追い口を入れてゆきます。

 『そろそろ動きだすかな・・・』

そう思った、次の瞬間でした。

 『バゴッ!!』

鈍い音を立て、谷に吸い込まれる様に根元が落ち始めました。
下敷きになっていた二本のヒノキが外れ
ビヨンッ!!と弓なりの状態から元の位置へと弾き返されました。
その衝撃で枯れマツ上部が上空で空中分解したのです。

 『・・・ヤバいっ!!!』

そこから先、頭上に見える風景はスローモーション。
バラバラに降ってくる、幹と数本の枝。

 『逃げる?でもどっちへ??』

結局成す術も無く、その場に立ちすくむ私。
いけないと思いつつ、思わず目をギュッと瞑ってしまいました。

もの凄い、出来れば二度と聞きたくない程の音。
そして、その後何もなかったかの様に聞こえて来る鳥の声。
恐る恐る目を開けてみました。
私を挟んで両脇数メートルの所に落下した幹と枝。
後もう少し、ズレていたら・・・
そう思うと急に足がガクガク震え出しました。


 『もっと、よい処置方法があったのでは?』


たまたま色んな悪い条件が重なりあっただけの事よ。
そう思えば、それまでの話。

最悪の状態を考え、確実な退避場所を定めておけば
とっさの時でも動けたのかもしれない。

熟練作業員の方にアドバイスをお願いすれば
違う良い方法があったのかもしれない。


 未だ自問自答が続いています。


        by、ナカシマ アヤ




 








コメント

Posted by: だん   [ 2009年3月13日 06:07 ]

恐怖の光景がありありと目に浮かびます。この仕事をしている多くの人が経験している腐れ木の空中分解。
最初からかかり木状態であればなおさら。放置の選択が出来るなら近づかないのが正解。

はっきり言ってどんなベテランでもチェンソーだけで安全確実に処理することは出来ないと思います。そういう木の場合、伐倒時に根が抜けて転がり落ちる危険もあります。

まずは経験者に相談しながら、自分も経験者になっていきましょう。

一つ言えるのは、「命をかけてやるほどのことではありません。」

Posted by: ナカシマ アヤ   [ 2009年3月13日 19:05 ]

だんさんへ

コメント有り難うございます。
本当に心に染みました。
今朝社長ともこの件に関して話をしたところです。


『口でどれだけ危険予知を教えたとしても
 その状況、一つ一つで対処方法が異なる。勿論危険な 目に合わないのが大前提
 だけれども、現場で見て聞いて経験を積みながら察知 能力を高めて行く事。』


 ダンさんの書いて下さった、
最後の一行。肝に銘じて経験者となってゆきます。

 
 

Posted by: こーりきー   [ 2009年3月13日 22:30 ]

久しぶりに開いて
読んでびっくり。
まずは
「鳥の声」がすぐに聞こえてきて良かったですね。。
本当に!!

そう
命って・・落とすときはきっとあっさりなのかも・・
地元の新聞で一時毎日スノーボーダーが死んでいました。
今も山スキーや
冬山登山でも毎日のようになくなっています。
ましてや
林業。

ぜひぜひ
全国の女性林業者のためにも
命は大切に。
お願いしますね(^^)

そうそう
アヤさんの母
強いですねぇ。
立派。。
社長も。。

Posted by: ナカシマ アヤ   [ 2009年3月15日 23:13 ]

こーりきーさんへ


強烈な恐怖の後で『鳥の声』が聞こえた時、
もし、今私がここで終わったとしても
この森は何事もなく生き続けるんだ・・・
と、いう不思議な安堵感を感じました。
と、同時に『志し半ばにして、このまま死んでたまるか!!』
というメラメラした思いも(笑)


安全第一。
世の為、人の為にも・・・ですね。


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森からの宅配便 西中国山地の山あい広島県廿日市市吉和で林業から木工まで、森林にどっぷりと浸かって抜け出せない毎日を送ってます。

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