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森からの宅配便

森林に関わる仕事に就いてもうすぐ20年。日々の泣き笑いをご覧あれ!

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田中淳夫氏

 昨日、今日取材がありました。
テーマは『田舎暮らし』

 私は田舎暮らしに憧れてココに居る訳ではありません。
林業がしたくてココに居るのです。
社長と首を捻らせていましたが、
それを踏まえた上で伺いたい、と
おっしゃって下さったのでお受けしました。

 依頼主は森林ジャーナリストの田中淳夫さん。
ご存知の方も多いのでは。
  
  『森を守れ』が森を殺す

の著者でもあります。
もう、10年も前の本ですよ・・と苦笑いされましたが
この本、私は今でも読み返しています。
そんな田中さんの目に
林業を通しての吉和での生活が、どのように映るのか
興味深くもありました。

 現代林業の最前線。
 他都道府県の現場話。
 施行プランナーについて。

話は尽きません。

その中で、ふと田中さんから質問がありました。

 『仕事をしていて、森林を守っているだ!
  っていう実感はありますか?』

・・・答えは?

 『はい。っとは言えません。』

昔から、" 自然を守ろう" " 山を大切に" と言うような
キャッチフレーズに違和感を感じていました。
人間が手で守るような存在なのか?
人間とは存在レベルが違う、もっと大きな力ではないのか?
 
 " 森林を守る "ってなんだろう?

もしかしたら、100年、200年全く手を加えないで
天然更新を促すのが守る事なのかもしれない。
本当に間伐は必要なのか?
搬出間伐をして残木を傷付けてしまうのなら
植えてから主伐まで全く手を加えず、
皆伐してしまうのが一番山に負担がないのでは?

ただ、私が従事しているのは " 林業 "
材を出してお金を得なくてはいけません。
だからこそ幼木の成長を促す為、下刈りをするし
残木を傷付けず、搬出する工夫や努力をするのです。
" 林業 " が " 森林を守る仕事 " とは思っていません。
" 森林と共存する仕事 " だと思っています。

 『儲かる林業をする。
  結果、それが持続可能な山づくりに繋がるんだ。』

そう言ってた林業家がいたなぁ〜と、
田中さんがおっしゃいました。 

 この二日間
私の中のそっとフタをして隠してたモヤモヤ感を
一気に掘り返された気分です。
そして、そこにフタを被せる事なく
田中さんはサッサと帰ってしまわれた。
・・・チクショー(笑)
きっと、自分でモガイて答えを見つけろと
おっしゃっているのでしょう。

 『日本の林業は明らかに変わってきている。
  本当に変わらなくてはいけないのは
  人間の方だ。』by、田中
 
P4220809.jpg
 右*田中 淳夫氏
 左*出水 伯明氏(カメラマン) 


        by、ナカシマ アヤ

 


コメント

Posted by: だん   [ 2009年4月23日 04:37 ]

儲かる林業、やりたいなあ。
僕は林業家ではなくて林業従事者なので難しいかもしれないけど。


田舎暮らしをしたくて山にいるわけでも、林業の仕事がしたくて田舎暮らししているわけでもないけど、今の仕事は好きです。
それはやっぱり「イメージをかたちにできる」というところだと思います。伐倒一つから架線の設計、その他いろいろ… 現場設定してそれがうまく回ると気持ちいい。それは舞台の裏で働いていたときから変わりません。

自然を「保護」できるほど人間は偉くない。地球に優しいなんて言葉は、おごりです。

Posted by: やすだ   [ 2009年4月23日 06:59 ]

だんさん、おはようございます。
やすだです。


私がここにコメントするのはルール違反かもしれませんが。。(^_^;)


私は「地球に優しいがおごり」だとは思っていません。
確かに自然を「保護」するなんてのはいささか傲慢ですが
少なくとも、現在病んでいる日本の森林(特に人工林)の治療の一端にはなっていると思っています。
そういう自負を持って日々仕事をしています。


最初にナカシマさんに会った時に言ったのは『山を持たない林業経営者になってください。』でした。
日本中で林業に関係している人々が経営者としての自覚を持って日々の仕事に取り組んだなら
きっと、日本の森林もアッ!という間に治療できることでしょう。

Posted by: ナカシマ アヤ   [ 2009年4月23日 21:50 ]

だんさんへ


役者(現場作業員)をいかに上手くまわすか。だんさんはきっと、山の中でブカン(舞台監督)の仕事をされているのでしょうね。


『環境保全』・・・賛否両論ありますけれど皆の言う事正しいし、皆の言う事おかしいと思う。だって答えが出るのは皆死んでからだもの(笑)人間の存在期間なんて、地球にしてみれば、ホンのヒトくしゃみじゃないでしょうか。じゃぁ、どうでもいいやって投げてしまうのもナンカ違う。正解がないのなら、とことん自己満足でいってやろうという思いです。
真っ暗なやせ細ったスギの人工林。手を加える事で、感じられる山になってゆくかもしれない。私が死ぬ頃に(笑)
自分が『えぇもん、魅してくれて有り難う』と思える舞台(山)を残したいだけなのかもしれません。
・・・こんな事言ってたら、社長にお叱りを受けそう(苦笑)

Posted by: 田中淳夫   [ 2009年4月23日 22:45 ]

アヤさんの心の蓋をヒッぺがした張本人です。そして、さっさと帰ってしまった(笑)。
ちなみに私も、新しい蓋は持っていません。

人は自然に多大な恩恵を被っていますが、自然だって人の影響受けて、結構豊かになってるやん、ギブアンドテイクだ、てのが、私の思いです。でも、やらずぶったくりにならないよう、努力しないといけませんね。

Posted by: こーりきー   [ 2009年4月23日 23:05 ]

おもしろいやりとりでんなぁ(^^)
そして
べんきょうになります。

一つ言えるのは
知りもしないで
知ろうともしないで
「知る機会を逃し続けながら
自然を語ろうとしたり
自然に背を向けたり
森をただ怖いと頭ごなしに決めつけてしまう
これが
一番怖いです。
まずは・・森へ入り
自然に触れ
そこからなにかがきっと生まれます。
まだまだ
「ヒト」は「感じること」が出来ると思っています。

五感が解放されたり
真剣に取り組むなにかが有れば
なおのこと。

そして
人間といわれる動物が森に入り続けるシステムだけはつくって死にたいな(^^)

いつも思っています。
もちろん
出来れば子供の頃から
そして
最後の日まで。

やっぱ
森の入口と
出口かなぁ。
いろんな意味で。。

森の健康は
ヒトの健康かなぁ。

そして
田舎暮らしとは
「感じる」
生活です。
「ヒト」の
本来大きな循環の中に組み込まれた・・・
「ヒトとして」の
生活です。


Posted by: だん   [ 2009年4月23日 23:20 ]

やすださん、コメントのコメントありがとうございます。ちょっとうれしいです。
もちろん、優しくないより優しい方が良いし、バブルがはじけて不良債券化した人工林をなんとかせねばという思いもあります。
ただ最近その言葉の使われ方が、うまく言えませんがちょっと違うんじゃないの?と感じています。
『山を持たない林業経営者』今の僕にそのモチベーションが維持できるか?でも良い言葉ですね。がんばります。

アヤさん、そう、仕事は作品ですよ。(笑)バッコンは個人の、現場はチームの。
以前天然林を伐採したときに見た年輪、直径10cmまでに100年。その木はチャンスをつかんでブレイクするまで100年以上劣性木だったわけです。とても人間の価値観の及ぶところではありません。

Posted by: ナカシマ アヤ   [ 2009年4月24日 21:54 ]

田中 淳夫氏へ


出てきましたね、待ってました(笑)
なんだ新しいフタ無いんだ。やはり自分サイズを創り出さないとダメなんですね。


牛の放牧の話したじゃないですか?その夜
安田林業の山にキリンがいて、スギの高い所に巻き付くカズラをムシャムシャ食べている夢をみました。
・・・アタラシイ!!(笑)

Posted by: 田中淳夫   [ 2009年4月24日 22:07 ]

キリンの放牧ですか! これは斬新な林内放牧だ。キリンと共生する森なんてできたら、人気呼ぶだろうなあ。

アヤさんは、キリンに乗って山を巡回するといい。
昔、カナダの森林警備隊に入りたかったんだけど、そのためには馬に乗れないと駄目と言われたことを思い出しました。

Posted by: ナカシマ アヤ   [ 2009年4月24日 22:15 ]

こーりきーさんへ


こーりきーさんの描く『感じる森』
私の描く『感じる森』
いつの日か、一緒に歩く事が出来れば素敵ですね。
今居る "苗畑” 、五感をフル活用です。
山から流れる水の量、温度、風の方向、強さ、明日のお天気・・・全て自然状況を見極め仕事を進めて行きます。仕事の内容は覚えられても、仕事の判断が出来るまでは、まだまだ年数が必要のようです。

Posted by: ナカシマ アヤ   [ 2009年4月24日 22:20 ]

田中 敦夫氏へ


田中さんっ!!奇遇!!
私も高校の時
『アヤはウマに乗れないからダメだよぉ・・・』って、
全く同じ事言われました(笑)
そうか、キリンに乗ればいいのか!

Posted by: ナカシマ アヤ   [ 2009年4月24日 22:34 ]

だんさんへ


10cmまでに100年ですか・・・。
思わずメジャーで計ってみました。間伐の際、よくもまぁ、こんな所にと思う様な条件の斜面にスギが立ってるのを見かけます。
そんなスギに限って、天に向かって一直線だったり、ビックリするような美しい木目だったり。理屈や言葉では現せない素敵なビックリが山の中には眠っていますよね。

Posted by: 神戸のキコリ   [ 2009年4月25日 16:41 ]

回線の不調で出遅れてコメントしにくいや
特に両人のブログを見ていると


田中淳夫さんは、割り箸と森林セラピーの評論家でもありますよ。


めくられたフタを捜していてないでいろんな方向から山見てもがいて見ればいかがですか


 私は、本業・ボランティア・Iターンミーティング等で同業者と話す事・ネットと、使い分けてループさせることで矛盾をフタ無しで日々格闘していますよ。


 アグロフォレストは、家畜側から言えば循環させる為に林齢の違う山の確保が必要ですね。そうじゃないと一過性のものですよ(組合長が言ってました)

キリンは、杉葉や檜葉は食べるかな??食べて枝打ちしてくれたらいいんですが
今度王子動物園に持ち込んで試してみようかな(葉っぱはたくさん食べるとはお腹を下すって昔聞いたけど。あそこのキリンは、柵の外の桜の新芽を食っていたけど)

Posted by: ナカシマ アヤ   [ 2009年4月25日 21:18 ]

神戸のキコリさんへ


どちらにコメントしようかと思いつつ(笑)
おっしゃる通り、フタ探しをして立ち止まるより、次へ又次へ進んで行くのが良さそうですね。そして忘れた頃にウマってる事でしょう。
”森林 " を中心に360度色々な関わり方をする方々に巡り会いたいです。答えはヒトの数だけあるはず。

王子動物園!!懐かしいなぁ。中学・高校と通学路でした。キリンの飼育を考えたとき(考えたのかよ・・・)一番心配だったのは冬場。キリン用スノーシューズを作らねばという結論に達しました・・・はい。毎日が楽しいです(笑)

Posted by: 神戸のキコリ   [ 2009年4月25日 23:52 ]

上の皆様と違ってローカルな緊張感の無い書き込みを続けますが、その辺で、中高と通うとすると二つ学校がありますね。

松蔭は、知る限りではここ3年ほどグリーンエコプロジェクトと言う活動を始め現在ではブルーアースプロジェクトと言う名称の環境活動をしていますよOGも活躍しています。
吉野に間伐に行ったりアドバシを作って飲食店に使ってもらい使用済みの箸を回収し製紙会社に送ってノートを作り後輩にプレゼントすると売った活動をしていたりしていますよ。(他にも色々と活動しています)

アドバシに関しては、本家の田中淳夫先生解説よろしく(と人に振ってしまいますが見てるかな)

Posted by: やすだ   [ 2009年4月26日 07:49 ]

神戸のキコリさん

最近では多くの学校で「エコプロジェクト」ってのが行われてますよね。
方法・結果は別にしても、そういった考え方が教育の一環として重視されてきたことはとても喜ばしいことですね。

Posted by: 田中淳夫   [ 2009年4月26日 09:43 ]

アドバシに限らず、割り箸に関しては、拙ブログの「割り箸」カテゴリーを見てください(^o^)。
http://ikoma.cocolog-nifty.com/moritoinaka/cat7732081/index.html

キリンは、寒さ対策が大変だからやめましょう。そこで考えたのですが(考えたのかよ…)、ヤギを訓練して雑草だけ食べるようにする(笑)。ついでに角で枝打ちも仕込む。
スギ苗は、思い切りマズい品種を開発して、食べなくできないか。
育ったヤギから乳を絞ると、アルプスの少女ハイジみたいな世界が作れます(笑)。

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